特集 マスコミと保健活動
医療ジャーナリズムの功罪(2)—送り手論 その1
村松 博雄
pp.27-29
発行日 1969年1月10日
Published Date 1969/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204359
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送り手について
心臓移植手術,東大医学部紛争や米ぬか油事件など,このところ,健康や医療に関する問題があいついでおこっている。新聞,TV,雑誌もその都度,生々しいニュースや,詳細な解説,評論を国民に大量におくりとどける。どの新聞,どのTVを見ても,たとえば,心臓移植をほどこされた宮崎君の死亡した前後など,そのニュースや心臓移植の是否の論義でうめつくされていた。A紙とB紙と見くらべてみると,心臓移植手術を行なった和田博士に対する論評に微妙な差があったりして,まさに情報過多時代といった観さえおこさせる。無論,A紙とB紙の論調に違いがあっていいはずで,A紙もB紙も,TVも全部その内容が同じ,というのでは,それこそ戦争中の言論統制時代とかわりはなくなる。
一昨年1月号の本誌で,私は,"医療ジャーナリズムの功罪"(1)と題して,この世界の先達といえる,石垣純二,松田道雄,杉靖三郎といった人々の素描を試みてきた。医療ジャーナリズムの中の"書き手"といえる人々の,いわばその視点というか,よって立つところに焦点をあててみたつもりである。
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