寄稿
徒然草と養生訓—長生き論によせて
秋山 房雄
1
1女子栄養大学
pp.510-511
発行日 1974年9月15日
Published Date 1974/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204891
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命長ければ恥多し
命あるものを見るに,人ばかり久しきはなし.かげろふの夕を持ち,夏の蝉の春秋をしらぬもあるぞかし.つくづくと一年をくらすほどだにも,こよなうのどけしや.飽かず,惜しと思はば,千年を過すとも,一夜の夢の心ちこそせめ.住み果てぬ世に,みにくき姿を待(ち)えて何かはせん.命長ければ辱多し.長くとも,四十にたらぬほどにて死なんこそ,めやすかるべけれ.
編集の方から長生きについて何かといわれて,最初に思い浮べたのは,この徒然草(第七段)の一節であります.しかし,同時に,つぎのような貝原益軒の「養生訓」のことばも考えられたのです.
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