特集 地域保健を担う人々
地域保健の担い手—世界の動きと日本
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.388-393
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204868
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1960年代の日本の社会経済の変化は,かつて経験のない,また世界的にみても他に類のない急激なものであり,地域住民の生活と健康に誠に深く複雑な影響を及ぼした.とくにこの時期の社会的な変化が,これまでの医療,公衆衛生,医学教育,医学研究,社会福祉など,住民の健康と生活のなかでさまざまの不合理と問題点をあらわにし,そのなかからいわゆる包括医療ないしは総合保健をふまえた地域医療ないしは地域保健活動が,今日の切実な実践的課題として登場してきたことは,よく知られているとおりである.
ところでこの課題を実践的に進めていく場合,施設,システム,資金等々多種多様の問題があるが,何といっても最も基本的なものは,その実践を担う保健医療の従事者の問題である.またその場合,単に従事者の数ばかりでなく,それがひとつの有機的なティームとして日常の活動を進めることがその必須要件である.本誌では,昭和40年以来,総合保健活動を一貫として掲げ,さまざまの側面から従事者の問題を含めてこの主題にとりくんできた.本号では地域保健を担う人の問題を特集テーマとしてとりあげているが,本年1月号で地域の実地医家と保健所,2月号で保健婦,4月号で産業医,5月号で学校医,6月号で歯科医師をとりあげ,また近く薬剤師についても企画されているので,本号では前記以外の各種の従事者がとりあげられている.このような観点から,小稿では"community health team"に視点をおいて,巨視的にその背景,国際的動向,日本の現状と課題などを考えてみることとしたい.
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