特集 ONLY ONE EARTH
環境と人間
島津 康男
1
1名古屋大学理学部
pp.153-160
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204632
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1.自然・生物・人類
年々に気温の変動はあっても,冬がくればやはり寒い.太陽の光はたえずふり注ぐのに,地球がどんどん暖まりはしないのである.地球から宇宙空間ヘエネルギーが逃げて,入ってくる太陽エネルギーとバランスしているからである.この自然界の中に巧みにはめこまれたのが生物の世界であり,自然界と物質・エネルギーの交換を行なうとともに,内部では食う食われるの巧みな相互作用を行なっている.人類が生物の一員であることは確かなのであるが,その一方では生産という行為を通してむしろ脱生物を志しているようにみえる.
自然界つまり地球の表面は有限なので,人類社会の急速な拡大は必然的に生物界と自然界とをともに圧迫する.そしてその反作用は生物としての人間の生存条件にはね返るのである.そこで 1)自然・生物。人類の各世界のはめこみ構造のゆがみをどのようにしてなくすか(環境保全)
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