講座
生態学序論(5)—生態系はいかに変化しているか
手塚 泰彦
1
1東京都立大学理学部
pp.33-38
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204601
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5.人類活動と生態系の変化
前回までの4回にわたって,生態学とはどのような学問であり,どのような対象について研究が進められてきたかをかけ足で紹介してきた.一口に生態学といっても,その対象とする内容は広範なものであり,個々の分野に立ち入って考察する余裕はなかったが,これまでの考察から,生物的自然—生態系—は,われわれ人間と同様に,生きているものであり,われわれ人類もこの大きな生き物の部分にすぎないということを,ある程度,理解していただけたと思う.
生物学の諸分野のうち,分子生物学がミクロの分野の極であるならば,生態学はマクロの分野の極である.マクロの学問にはミクロの分野では直面しないような研究上の困難さがある.生態学は古くて新しい学問である.解決しなければならない問題が山積している.
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