特集 健康権
「健康権」と社会保障
小川 政亮
1
1日本社会事業大学
pp.23-30
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204599
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社会保障という言葉は,通常,制度的には,狭義には①社会保険,②児童手当のような無拠出制で,かつ資産調査のない所得保障ないし,③生活保護のような扶助的保障を総称するものとして,また広義には,狭義のそれに公費医療・公衆衛生および社会福祉(児童・老人・障害者などに対するいわゆる社会福祉サービス)までをも加えたものの総称として用いられている.このような意味での社会保障は,われわれが誰しも人間らしく生きる権利,憲法25条の表現によれば,健康で文化的に生きる権利を有する以上,これまた,当然に権利として要求しうるものでなければならないはずである.
それでは,権利としての社会保障のイメージにふさわしい社会保障制度とは,どのようなものであろうか.この点で,働く者の立場からみて大いに参考となるのが1953年ウィーン国際社会保障会議採択の社会保障の基準・原則を発展させて1961年モスクワ第5回世界労組大会で採択された社会保障憲章であることは,周知のところであろう.
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