研究
ポラロイドフィルムのX線胸部間接撮影への応用—読影医師の立場から
水原 完
1
,
橋本 美知子
2
1大阪市環境保健局
2大阪市浪速保健所
pp.464-468
発行日 1972年7月15日
Published Date 1972/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204512
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わが国における結核対策は,結核予防法の制定,住民検診制度の公費負担化,ついで結核患者管理システムの確立といったこの20数年の流れは,大きく前進した.全国的にも結核発生は下降カーブをたどり,多発地区とされていた大阪市内1)でも10年前と比べると,り患率は半減している.昭和40年代にはいって残っている重点問題としては,high risk groupがあげられ,結核病学会でもしばしばシンポジュームが行なわれ,また昭和44年には,今後の日本における結核の予想をシンポジュームとしてとりあげられた.全国結核実態調査結果2)から,全国的には結核は西日本に多く,それも大阪市・神戸市・九州北部に集中し,性別には男子,年齢階層別には高年層に,社会階層別には小企業従事者・低所得層・浮浪者などに片寄っており,これら未受診者層に対する施策の実行が望まれている.
大阪市では,かつて高い結核り患率を示していた数地区(城東区・大淀区など)もあったが,昭和32年以降の住民検診を軸とした地域活動の結果,さきに10年間の反省と実績から,住民検診高率受診継続地区での結核激減という好結果の報告3)をした.そのさい指摘したごとく,high risk groupとして,市内22区のうち浪速・西成両区を中心とした単身労務者や無宿者・浮浪者などの問題が,未解決のものとして残存している.
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