人にみる公衆衛生の歴史・14
馬島 僴(1893〜1970)—産児節運動と労働者診療所
川上 武
1
,
上林 茂暢
1
1杉並組合病院内科
pp.394-395
発行日 1972年6月15日
Published Date 1972/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204491
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"性"の解放と公衆衛生学とは,一見つながりをもたないようにみえるかもしれない.しかし,"性"は自然現象としての一面をもつと同時に,すぐれて社会現象であり,その意味で,"性"の問題は,公衆衛生学の重要な課題でなくてはならないはずである.
ところで,"性"のもつ2つの側面をめぐって,体制側と人民の側では,きびしい対立抗争がつづけられてきた.今日,われわれが享受している"性"の自由も,この斗いを経てかちとられたものにほかならない.体制側は,"性"を自然現象(生殖・人口問題)の面からコントロールすると同時に社会現象(セックス)の面においても,抑圧・管理をおしすすめてきた.戦前における姦通罪,妾の公認,人工中絶の厳罰などはその一端を示している.
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