研究
螢光染料の皮膚に対する影響について(第1報)
藤原 喜久夫
1
,
宮治 誠
1
,
黒田 文子
1
1千葉大学腐敗研究所
pp.273-275
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204465
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螢光染料(Fluorescent Dye)**は1950年以降,衣料処理剤として急速に需要を増し,現在ではほとんどの衣料および紙類の増白に使用され,また,洗濯物の増白効果を狙ってほとんどの粉末洗剤にも混用されている.このようにその使用量および使用範囲が増大しているのにもかかわらず,人体に対する影響についての検討はあまり行なわれていない.螢光染料の毒性の研究として本邦では谷川ら1)の研究をまずあげることができる.谷川ら1)は"ケイコールなる製品はほとんど無毒なるも,加熱酸水解などの操作を加えられる時は有毒なる物質を若干産生するものと考えられる"と述べている.最近衣類や紙および洗剤中に混用されている螢光染料によって皮膚炎を起こすという報告2,3,4,5),また,マウスの皮下に長期にわたって螢光染料を注射し,同時に紫外線を照射すると,皮膚癌が発症したとの報告6)も現われてきた.このような状況の下に著者らは螢光染料の人体に対する影響を再検討する必要を感じ,今回はまず皮膚に対する影響をモルモットおよび人体について研究したので報告する.
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