特集 予防接種の事故
外国の予防接種事情
平山 宗宏
1
1東大医学部保健学科
pp.165-169
発行日 1971年3月15日
Published Date 1971/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204224
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
予防接種後に予期しなかったような強い副反応を生ずること,つまり予防接種事故についてはこの特集で論じられているように多くの問題点を含んでいるが,こうした事故が最近特に増加したわけではなく,たまたま大きくとりあげられるに至ったという事情はご存知のことと思う.予防接種が対象としている疾病そのものが既に国内にみられなくなり,また治療可能のゆえに恐ろしくなった場合,予防接種自体で重い障害や死亡の事故がおこるとすれば当然問題となるし,その予防接種が法律で罰則まで伴なって強制されているとなれば,万一の事故の際の面倒を国がみるとか,より安全なワクチンの開発を国の責任で推進するなどの対策が要求されてくるのは正に当然の動きである.
こうした対策の必要性は,厚生省自身も数年前から気づき,準備をすすめてはいたが,遅々としているうちに昨春の「種痘禍さわぎ」がおこり,追いかけられるようにして行政的に一歩進められたというのが経緯といえよう.しかしこれまでにたてられた対策というのはあくまで一時しのぎのものであって,本当の対策は研究分野であれ行政分野であれこれから本格的にとりくまなければならないことばかりである.そこで諸外国ではこの予防接種がどのように扱われ,すすめられているかをみてみよう.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.