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甲状腺機能充進症の地域における疫学的実態把握を試みるため,長野県において全県下より15地区を抽出し,そこの全住民73,045名を対象に調査を行なった.その結果,次の成績を得た.
1)本症の地域的な有病率は調査1,000対0.8(男0.4:女1.1)であり,これは甲状腺がんのそれより低頻度である.
2)本症の地区別有病率では,有意に高いところが1地区認められたので,その要因について種々検討を加えてみたが,それは明確になし得なかった.
3)本症の年齢階層別有病率では,男は年齢差をとくに見出せなかったが,女では若年層に少なく,中年層とりわけ50歳代に多く発見された.しかし,これもその理由づけは本調査の範囲ではできなかった.
4)臨床専門機関で相対的に多くをしめる甲状腺機能亢進症も,地域調査の場合では,発見される甲状腺疾患の1〜3%をしめるに止まる.
5)本調査で確認された甲状腺機能亢進症は全部で47例であったが,全例がびまん性の甲状腺腫大でToxicnodular typeはみられず,またその約2/3は要治療の段階であった.さらに,本症例の約1/3は臨床症状が顕著にもかかわらずその異常に気づいていなかった.
6)本症の発生率は相当ひくい頻度と考えられるが,その確定には相当数の調査の心要なことを知った.
For the purpose of estimating the epidemiological situation of hyperthyroidism, the prevalence and incidence rate of the disease were studied in the present paper.
During four years from 1965 to 1968, the authors carred out a survey of hyperthyroidism combined with thyroid disease in unselected population living in fifteen nongoitrous areas in Nagano Prefecture, Japan.
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