特集 勤労婦人の保健
単調労働と健康障害の問題点
小山内 博
1
1労働科学研究所・労働病理学第2研究室
pp.281-284
発行日 1970年5月15日
Published Date 1970/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204071
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
労働の歴史的な変遷の過程の中で,人間の体と労働との相互関係から,健康障害の問題を考えてゆくことが必要である.
初期における人間の労働は,おそらくは,自然の中における食物の採集,狩猟などの形態をとっていたものと考えられ,人間が最も自然な状態で生きていた時代である.そして,この時期は,人類の発生以来,農耕生活に移行するまでの,数万年に及ぶ長さをもっていたので,人類の歴史の中で,今までに最も長い期間を,このような生活形態の中で,人類が最もよく順応した生活形態のように思われるのである.おそらくは,生活ないしは労働の形態としては,他の条件を別とすれば,最も健康的であるといえる状態は,このようなものであるかもしれないと思われるほどである.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.