海外の医学教育
台湾の医学教育
柯 源郷
1
1台大医学院・公衆衛生院
pp.239-243
発行日 1970年4月15日
Published Date 1970/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204060
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はじめに
台湾の医学教育は基礎を日本統治時代に置いたということができる.しかし戦後24年の間に,そのたどった路は日本のそれとは同じでなく,その現在の姿は日本のそれとかなり違ったものになっていると思う.
台湾に西洋医学を導入し,人民の生活を向上させようとして開設された,台北医学校が台北医専になり,さらに台北大学の医学部に発展して行った過程は,非常に順調なものであった.しかし,この事実の背後には,植民地統治という事実のために組織ある機関では将来性がないという台湾青年の宿命の自覚があずかって力があった.医は仁術であり,いかなる場合でも,最も直接に人々に奉仕できるということと,生業として比較的に経済的安定が得られることと相まって,多くの青年は医を志した.それで,戦争中まで台湾内の学校ばかりでなく,およそ医師資格が得られる学校であれば,日本内地ばかりでなく,朝鮮,満洲でも必ず台湾青年の姿が見られた.
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