特集 トピックス
大学医学部の医学教育について
吉川 春寿
1
1東京大学
pp.608-613
発行日 1969年11月15日
Published Date 1969/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203972
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インターン制度廃止という問題を中心に数年前からくすぶりはじめていた大学医学部のごたごたは,新たな研修制度の施行をきっかけに医局制度,学位問題にまで及んだ.東大ではついに医学部学生の処分といういわば偶発的副次的な事件によって発火点に達し,これがさらに全学的な紛争にまでひろがった.70年安保を前にして,不安定な状態にあった全国の大学にも,この騒擾が連鎖反応的に波及して,今日の重大な社会問題となっていることは周知のとおりである.
ことがここまで重大化すると,その発端となった医学教育の問題も,広汎な事象の中にうずもれてしまって,あまり目立たなくなってしまったようである.しかし,現下の大学問題が今後どのように推移しようとも,医学教育に関連する諸問題は,わが国の医療問題と不可分の関係にある.このことから,医学教育の問題は独自の方法で解決して行かなければならないと思う.
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