私たちの保健所・10 高知県・本山保健所
結核予防と成人病対策
中村 仁志
pp.588-589
発行日 1969年10月15日
Published Date 1969/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203966
- 有料閲覧
- 文献概要
高知といえば南国土佐を思い出されると思う.幕末から明治維新にかけて活躍した坂本龍馬,中岡慎太郎,後藤象二郎,板垣退助など多くの志士を生んだ土地である.近年土佐犬,長尾鶏をはじめ足摺岬,室戸岬,龍河洞の景観は年ごとに多くの観光客を呼んでいる.人口は約80万人,保健所は10カ所にある.本山保健所は四国を縦断して流れている吉野川の上流で,有名な大歩危,小歩危の景観の少し上手からの愛媛県境の流域一帯約970km2を管轄している.石槌山,剣山を両峰とする四国山脈は非常に急峻で,吉野川の水とよく調和し山紫水明の地といっても誇張ではない.おかげで南国とはいえ保健所は夏でも非常に涼しく,名物の吉野川のあゆも多くとれ,人情豊かな土地柄である.冬には10cmの積雪があることも2〜3回あり,春の桜は本山の桜として四国に鳴りひびいている.しかし,ご多聞にもれず過疎問題は深刻であり,昭和27年の開設当時世帯数約10290戸,人口約49800人であったものが年々減少し,昭和43年10月現在で世帯数9687戸,人口34148人となり,世帯数に比し人口の減少がめだっている.管内は1町4カ村で,L5型保健所である.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.