主張
国際衛生
森下 薫
1
1阪大
pp.186-187
発行日 1969年4月15日
Published Date 1969/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203846
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世界情勢と国際衛生
近来の世界情勢は,その事がらのいかんにかかわらず一国の孤立は許されず,すべての行動は国際的プランニングによることを必然としている.かかる情勢下で取り扱われる問題は,当然それにふさわしい形態を要望されるが,これを衛生問題について考えてみると,各国に共通し,また実践上国際協力を必要とするものが少なくない.そこに国際衛生なる概念が浮かび上がってくる.
国際間の交渉は,元来,政治的・経済的要素が根底となっており,今日においても,その原則に変わりはないが,近来,各国繁栄の平等性,各民族の人権尊重などの国際的理念が加わり,しかもそれがかなり強く押し出されている結果,国際間交渉のニュアンスが,以前とは大いに異なってきていることはいなめない.その実践上の顕著な現われの1つは,種々なる事態に関する格差是正を目的とする低開発国への援助協力である.これを含め,その他一般に諸国間の関係は急激に密接となり,かつ複雑となってきた.
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