研究
開拓地の人口問題—(1)千振の将来人口
三浦 悌二
1
1東大衛生学教室
pp.281-286
発行日 1968年6月15日
Published Date 1968/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203694
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昭和18年12月から翌19年1月にかけて,東大医学部の大陸衛生研究会は,大東亜省の援助により北満にある第2次千振開拓団の医学的調査を行なった。千振の滞在は約2週間であったが,吉崎千秋街長はじめ開拓団の方々のご協力により,順調に調査を行なうことができた。中間報告は大東亜省に提出され,それは「千振の医学的調査(中間報告)」として拓医界2巻1号(昭和19年6月)に掲載された。しかし最終的な報告は,これとは別に学生の手から印刷にまわっている間に戦災にあい,ついに世に出ることがなかった。
本稿のもとはそのなかの一部分の控えが幸運にも戦災を免れて残されていたものである。人口問題を扱った第1編の中で,現状の調査結果の分析に続いて,「第6章将来への考察」として開拓地の人口問題に関する当時の私どもの見解をまとめたもので,以下はその要旨を原文をそこなわない程度に簡略にして再録したものである。今となっては,満蒙の開拓地は日本とのつながりを失ってしまったが,この報告は開拓村の発生と発展の過程を人口学的に捉えたものであり,今日の社会においても生かされ得るものが含まれていると考えられる。
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