人とことば
組織活動発生の生物学的原理
橋本 正己
1
1公衆衛生院衛生行政学部
pp.177
発行日 1966年4月15日
Published Date 1966/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203220
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組織は生きものである。その本質は,外形的に整っていることではなく,それが生きており,血が通っており働いて何ものかを生み出してゆくところにある。従って組織ないしは組織活動について考える場合,これを赤ん坊が生まれて生長,発育してゆく過程に対比してみるといろいろ教えられるところが多い。組織活動発展の生物学的原理とでもいうべきものである。組織は作るものでなく生まれるものである。生きた組織は,社会的要求に応えて生まれてくるものである。無理に人為的にでっちあげたものは,外形がどんなに立派であっても,満足に育ってゆくことはできない。
組織の生命も,形を整えて生まれてくる以前に宿っているのが本当である。それでは一体組織の生命はいつ宿るのだろうか。この問題については,やはり赤ん坊の受胎の場合と同じように,すなわち保健所や市町村当局の実践に対する意欲と熱意が,地元の人達のそれと結びついたときであるといえる。しかも,この結びつきは,単に量的な,形式的なものとしてではなく,質的な内容的なものとして,いいかえれば,指導者相互の全人格的な結びつきでなければならないのである。
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