特集 綜合保健活動成立の条件—第22回日本公衆衛生学会総会シンポジウム
主題
最近の医療保障の動向と綜合保健
朝倉 新太郎
1
1大阪大学
pp.568-574
発行日 1965年10月15日
Published Date 1965/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203127
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はじめに
公衆衛生院の橋本部長は,本誌が企画した綜合保健活動に関する論説の中で「日本の現状についてみると,綜合保健活動を必要とする人口,死因,疾病などの構造的条件は近年かなり著しくなり,その必要性が盛んに強調されるようになった。しかし,病院,診療所などによる医療の機能と,保健所などによる予防,公衆衛生の機能との間には,なお大きな溝があるばかりでなく,根本的には医療制度そのものに医師の予防活動を阻害する要因が大きく残されており,綜合保健活動を実現していくためには,先進諸国の場合に比べてなお根本的な制度的問題を抱えているといわなければならない(橋本正己:綜合保健活動と医療機関,公衆衛生,29(5),252,1965.)」と指摘するとともに,さらにこのような「制度」は「実はそれぞれの国が歩んできた近代化の過程における社会的,経済的,政治的条件の所産であって,保健の問題だけを切り離して考えることはできないのである(橋本正己:世界的視野のなかの綜合保健活動,公衆衛生29(2)64,1965.)」ことを「世界における保健活動の動きを,とくに綜合保健という立場から概観」した結果として述べておられる。
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