特集 綜合保健活動と保健従事者
主題参加
綜合保健活動と保健従事者のありかた
保健所の主体的な活動の強化を
石田 一郎
1
1奈良県奈良保健所
pp.482-483
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203099
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綜合保健活動の萠芽と推進
1人の人間がこの世に生をうけ波乱の多い生活をおくって,やがて死をもってその生涯を閉じるまで,くり返される人間の歴史は人類が地上に生命をえてより有名無名はべつとして限りのないものである。しかし,その個体を肉体的・精神的に健康を維持増進したいという欲求は古今をとわず共通のものであり,さらに社会の形成と発展とに伴って個体の健康維持には社会的な努力の必要なことを悟った。保健活動の基盤はここに萠芽していると考える。とにかく人と生れた以上は人間のもっている健康と能力とを十分発揮したいのであり,この障害となるものは不健康な各種の条件と生物としてもっている寿命とか老化とかいうものであろう。古代の帝王が最後に到達する欲望は不老長寿の秘薬であったことでも想像できる。ところが不健康の条件のうち個体の苦痛や能力の障害を自覚しうるものについては,その改善の要求があり排除の行動にでている。たとえば最近の「アンプル入り風邪薬禍」を頂点とする大衆薬の爆発的なブームである。これはマスコミの普及と,その巧妙なP.R.,技術によって健康に対する大衆の欲求にアピールしたためであろう。大衆が自分の健康の保持増進にたいして,いかに大きな関心と行動のエネルギーとをもっているかがわかる。
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