特集 保健所活動
保健所活動の発展のために—主体的実践的なとりくみを
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.7-10
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202767
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はじめに
日本の公衆衛生活動は,近年日本社会が経験しつつある激しい社会変動の中にあって,新しい段階に入っている。これはいってみれば従来の公衆衛生活動のあり方が大きな転換を迫られているということであり,一面においは公衆衛生活動の新しい発展の可能性を意味するとともに,他面,時代と社会の変動する要請に応えないならば,とり残されて価値の少ないものになる大きな危険性を意味している。このことは,保健所活動についてもそのまま当てはまることであり,今日われわれの当面している共通の基本的課題であるといえる。
昭和38年10月,第20回日本公衆衛生学会総会の第1分科会のシンポジウムとして,重ねて保健所間題がとり上げられたのも,このような問題意識に立つものであった。このためシンポジウムの関係者は,事前に数回の会合をもって具体的対策の観点から問題を5つのレベルに分けて整理し,またこれらに対する打開策を討議して資料を作成した。これを出発点として,シンポジウムの限られた時間を最大限に具体的対策の討議に当てようというのがそのねらいであった。しかし結果的にはその準備と運営の不手際や,企画のむりなどのために,最初のねらいとはほど遠いものに終ったが,私としてはむしろ今回の資料を基礎として,今後全国的に問題の堀り下げと打開策の検討が積み上げられることを期待したいと思う。ここではこのような見地から,主題に関連して若干の感想を述べてみたい。
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