特集 綜合保健活動と保健従事者
綜合保健活動と教育機関—順天堂大学における新しい試み—その現状と将来像
山本 幹夫
1
,
沢口 進
1
1順天堂大学体育学部
pp.460-465
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203089
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■まえがき
公衆衛生は戦後特に目覚しい成果を挙げているが,一方急激な生活構造の変化に伴って新たな保健上の問題が惹起され,それとともに保健関係者の量と質の再検討が緊急の課題として取り上げられるようになった1)。しかしながら,ここできわめて重要なことは橋本らも指摘するごとく2),新しいものと古いものとの二重三重の構造を有する日本の社会では,新しい問題の根底に常に古い問題があることである。新しい問題に対する対策は,従来の基礎的一般的な問題に対する十分な対策を前提としなければならない。確かに社会はcultural-lagと歴史的に連続と非連続の複雑な断層を持っている3)。
諸個人や各種の集団に対し合理的な保健活動を行うためには,社会に刻するこのような認識とそれを透徹する技術を有するものを幾種類も確保することである。それゆえに集団並びにCommunity-sideに活躍の舞台がある保健従事者は,単一原因を分析的に追求する旧来の医学教育では不十分で,多元的に要因追求をし,綜合化しうる方法と技術を修得していなければ効果を期待し得ない。そのためには,先ず第一に将来的見地に立って保健活動に従事する「人」の教育,訓練体系が整備・拡充されることである。幸に昭和37年「公衆衛生教育制度調査委員会」から各種の保健関係従事者養成のための教育カリキュラムに関する青写真が示されている4))。
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