特集 住民の保健をいかに進めるか—第5回社会医学研究会・主題報告と総括討論
総括討論
まとめ.1
国民の間において,医療および保健の活動が必要とされた具体的な状況はどのようなものであつたか
庄司 光
1
,
山田 信也
,
南 吉一
1京都大学工学部衛生工学教室
pp.640-642
発行日 1964年11月15日
Published Date 1964/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202933
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山田(名大医・衛生)まず「必要とした状態をつかみとる立場」について考えてみることにする。丸山は発題講演で,昔,権力者である主人公に仕えた医者は,現在の社会において世の中の主人公になっている労働者,農民,市民に仕える医者として,積極的に大衆の健康の実態を明らかにしこれを守るために働くべきではないかという発言をした。青山は現在の地域活動に,上からの立場からするものと,住民の自主的な立場からするものと二つの傾向がある。その二つの傾向を保健医療にたずさわるものが充分に認識して活動する必要があると指摘した。若月は現在の農村での圧迫された状態がもたらした健康の破壊を農民の中での保健医療の活動から,具体的に明かにしていった経験をのべた。四日市の公害について吉田は,現在の地域開発が住民の切実な訴えをいいかげんにしてなされている中で,住民が自ら運動を進めることにより,県の公害対策委員会に健康破壊の実態を浮きぼりにさせるまでに至ったことが述べられた。久保はポリオ生ワクチンを投写する時期にあたって,学者・政府がおこなった調査に疑問をいだいた大衆が,自らが調査にのり出し,全国的に投与後におこった健康障害の実態を明かにし,また他方自治体に実態調査をさせるというような成果をあげたことを指摘した。
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