特集 社会医学(第4回社会医学研究会講演)
特別講演
地域開発について
島 恭彦
1
1京大
pp.521-525
発行日 1963年10月15日
Published Date 1963/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202720
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地域開発の問題というのは非常に総合的なものであり,またその概念は非常に曖昧である。これは政治的な概念でもあり,近頃では更に投資戦略的な概念でもあると云われている。昨年来朝した国連ワイズマン調査団のなかにフォード財団の副理事がおり,当時吉田元首相,池田現首相その他財界人自由主義諸国は団結して東南アジアの地域開発を行なうべきだという提案を行なっている。これが実は今度のフォード財団も協力する国土開発センターの構想につながっているといえる。
こういうふうに地域開発ということが単なるregional地域的な問題ではなくて現時点の問題として,国際的な資本の開発ということを意味している。nationalまたはinternationalな規模での投資を考えた場合,地域に導入される資本の意図しているものと地域自身が考えている開発の間に喰いちがいがあるのではないだろうか。地域というものは非常に流動的に考えられており,資本の立場から見ると世界あらゆる所の地域が自由に投資の対象として選択されているということである。従って地域開発の概念が曖昧だということは地域を都市といった一つの地域の単位から国際的な意味を持った地域にまで広がってくるからである。
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