第3回社会医学研究会講演:続
医療保険の統合と保険医
稲田 素臣
1
1京都府保険医協会
pp.661-662
発行日 1962年12月15日
Published Date 1962/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202604
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医療保険の統合という問題も,それだけでは問題が尨大すぎて,とてもここでは扱い切れない。
しかし,まず誰が何のために統合の必要を感じたかということを考えてみると,時間的には,昭和23年7月に公表されたいわゆるワンデル勧告がある。単独法が8も9もあり,所管省が7も8もある。こんなことでは日本の医療保険のつかみようがない,そう感じるのは当然といえよう。ワンデルとは狙いが多少異なるが,日経連も昭和28年に,「各種社会保険の整理統合案」を発表した。内容は,①法律の一本化,②行政機構の統合,③保険料納入,給付窓口の一本化,④各種手続の一元化,⑤給付内容の統合整理を実現すべしというものである。要するに主眼点は,行政が①能率的で,②経済的で,③把握しやすいものでなければならぬということにある。しかしそれだけではもち論いけないので,「全国民について給付と負担の公平および所得再配分の観点から,これを総合調整する必要がある」(昭37.4社保審中間報告…問題点より)ということになっている。
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