特集 社会医学(第3回社会医学研究会講演)
一般演題
保健所における健康管理への一試案—その背景と今後の在り方
橋本 周三
1
1和歌山県高野口保健所
pp.631-633
発行日 1962年11月15日
Published Date 1962/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202595
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はじめに
保健所というものの存在は,健康という問題について住民と直接接触する機会の多い重要な機能をもつ行政機関である。しかし,この保健所がもつ性格は,社会的に理解され,運営されているとは考えられない面がある。それは,保健所という建物の中で行なわれる業務内容が,行政行為を行なう行政庁なのか,営造物行為をする場所なのか,その性格が明確でない上に,この業務を運営する人が,行政的な考え方と,公衆衛生的な考え方をする人が併存して,前者は,行政行為を中心とした法にもとつく事務処理的な立場(以後行政的と呼ぶ)をとり,後者は,営造物行為を中心とした医療行為的な立場(以後公衆衛生的と呼ぶ)をとろうとするからである。
筆者は,この両者の考え方の中にあって,保健所は,行政機構の一隅に位置する行政庁であると考え,この機構の中にあっていかに公衆衛生を展開させたらよいかを考えてみたいと思う。
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