特集 成人病対策
癌の疫学からみた癌対策
平山 雄
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.489-494
発行日 1961年9月15日
Published Date 1961/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202436
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A 癌の自然史と対策の諸段階
次に示す第1表はLeavell及びClarkの教科書Preventivl Medicineに掲げられてある表を参考にして作成したものであるが,癌の自然史の諸段階に対応して,対策の諸段階が存在していること,例えば,癌の発生及び分布に影響する諸因子は,病理変化前期に作用するものであるが,それらを取除く努力が,対策面では,第1次予防(つまり原因対策)となり,更にそれを細別すると,健康増進と,特異的予防に分れることが示されてある。自然史の方で,臨床水平線に頭を出す前後の所に焦点を合わせたのが,第2次予防で,具体的には早期発見と即時治療であり,発病後の経過を悪化させぬ努力が第3次予防で,重症化予防と,後遺症の制限,作業復帰の問題などが,これに属している。
癌対策に関係するものは,このような全体的な姿を充分頭に入れておく必要があり,現在の努力は,自然史の諸段階,対策の諸段階のそれぞれどこと対応しているのかをまづ明瞭にしておくことが肝要と考えられる。
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