特集 成人病対策
綜説
成人病の統計
渡辺 定
1
1厚生省統計調査部
pp.477-488
発行日 1961年9月15日
Published Date 1961/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202435
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I.成人病とは
成人病とは,厚生省が従来老年性疾患といわれている疾患に対し提唱した名称である。成人という字が「成人の日」などに用いられている関係上,20歳前後の人の病気と間違われやすいが,所謂老年性疾患が多くは老年に始まるのでなく,すでに壮年より罹患の端を発しておる関係から,成熟期からの疾病という意味から用いられ出した。が,一方には,これらの所謂老年性疾患が近来の医学と公衆衛生の進歩によつて伝染病が減少のため,国民死因の上位を占めるに至り,老年性疾患の予防改善の対策が厚生省の重要政策として取り上げられるに至つたが,これを老年病対策と銘うつより他の適当な命名ということから,成人病と名付けられたと聞きおよんでいる。
厚生省では一方,成人病対策としてまず脳卒中高血圧,がん,心臓病に重点をおいて,多くの国立病院には,診療センターをおくほか,本年度は予算を得て,成人病の国民調査を始める予定であり,各府県も成人病対策に力を注ぎ,保健所でも高血圧に対しては集団検診を行なう所が多く,他方,大病院ではいわゆる人間ドックや簡易外来健康調査などが行なわれて,成人病の予防と治療に大きな貢献がなされつつある現状である。
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