特集 公害
自治体の行う大気汚染の測定法とその問題点
寺部 本次
1
1川崎市立衛生試験所
pp.729-736
発行日 1959年12月15日
Published Date 1959/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202217
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I.まえがき
煤塵,有害ガスによる都市の大気汚染が公害問題として近年各地で住民の苦情の対象となり,行政的にもその対策が強く要望されている。この対策のためにはまずそれぞれの都市における大気汚染の範囲,量,質等の特性に関する科学的な調査資料を必要とする。大気汚染に関する調査研究には気象学,物理学,化学,薬学,工学,医学,植物学など広汎な分野の知識と技術を要し,これらの最新の学術によつて深く究明されなくてはならないことはもちろんだが,又一面標準化された測定方法で広範囲に長期間継続して調査を行つて汚染の地域的分布,季節的分布,年変化(さらに人体,植物,器物等への影響)等の実態を把握する必要がある。
大気汚染問題の発生しているところ,または発生のおそれのあるところでまず実施すべきは後者の場合である。このSurveyにおいては(1)科学的で測定結果が十分信頼できること,(2)日常業務として継続実施のできること,(3)統一された標準的な測定法でその結果が国内はもちろん国際的にも比較のできるものであること等の要件をみたしてくれる測定法が望ましい。
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