原著
K鉱業所における赤痢の実態とその対策について
刈屋 裕
1
,
山形 達雄
1
1日本鉱業河山鉱業所診療所
pp.515-518
発行日 1959年8月15日
Published Date 1959/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202176
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I.緒言
わが国の赤痢はあらゆる防疫対策を尻り目に次次と新たな患者の散発と集団発生を繰返し未だ制圧出来ない厄介な伝染病である。われわれの鉱業所に於ても昭和28年夏に赤痢の集団発生が起り患者61名保菌者31名を出した苦い経験がある。しかしこの発生が契機となり赤痢に対する関心が高まり従来実施していた公報活動,衛生施設の増強及び社宅の環境衛生の改善等が一層促進せられ,その結果昭和30年には早くも蠅と蚊のいない地区となり,厚生大臣より表彰を受けるに至つた。しかしこのように環境衛生は著しく良くなつたにも拘らず毎年実施している家族を含めた全員検便の結果はその都度多かれ少なかれ保菌者が検出されていて未だその跡を絶たない状況である。このように保菌者の検出されるのは新感染の起つている証拠であり,その原因を追求するためにわれわれはまず診療所を訪れる下痢を主訴とする患者につぎ赤痢菌の検索を行なうと共に,陽性者にはその感染経路を調査し,それに基いて当所に於ける防疫対策を如何にすべきかについて若干の考察を試みたので茲に報告し皆様の御批判と御指導を仰ぎ度いと思う。
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