研究報告
立川市内に頻発せるガソリン臭井戸水の系統的調査研究(第三報)
佐藤 乙一
1
,
根本 永
1
,
渡邊 周子
1
,
植田 栄一
2
,
飯田 貢市
3
1国立立川病院
2立川市衞生課
3立川市衞生課環境衞生係
pp.49-50
発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201175
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1 緒言
立川市内を始め近接町村の井戸水がガソリン臭をおび,しかもそれが社会問題化してから早くも5カ月は過ぎ去つた。余等が第1報で報告したように,昭和23年から今年に至るまでの綜合的な研究結果から考察すれば,夏期相当範囲に亘つて蔓延した発臭地域も,10月下旬から11月中旬にかけては,著しく縮少する傾向にあつたにも不拘,1)本年は今になつても尚著しく拡大さえしている現状である。殊に"燃える井戸"とさえ言われた井戸水が更に同じ様な状態で発臭地域内数個所に出現し,此の近辺の人々を戦慄せしめている。中には今まで無臭無色だつたものが急にガソリン臭を発し,僅か1カ月足らずで黄褐色と,著しい溷濁を呈し,飲料には勿論洗濯等にさえ使用出来なくなつた例も亦次第に多くなつて来たようである。しかしこの様な訴をしてくるものの井戸全部が油類による汚染ばかりではないことは勿論である。例えば自家或は隣家使用の吸込溜或は便所等が原因となつて汚染される場合もあり得るが,之等は細菌学的検査或は化学的検査の成績を参考に,現場調査を行えば容易に鑑別出来るものである。以上のガソリン臭を発する原因については既に基地内から原因を究明し,修理を行う旨の文書をうけたことを報告し,余等は単に之だけが原因ではないと思われる資料も併せて報告した1)2)。
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