原著
東京都下利島に於ける蝿・蚊の季節的消長に関する研究
平川 達
1,2
1東京医科歯科大学医学部農村厚生医学研究施設
2公衆衛生学教室兼医動物学教室
pp.630-635
発行日 1958年11月15日
Published Date 1958/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202051
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I.緒言
伊豆七島方面には,かねてから2つの主要なる風土病,即ちフィラリア症と所謂八丈デング(現在の七島熱)の存在が知られていたが,戦後,八丈島を中心に活溌な医動物学的並びに疫学的の調査研究が行われるに及んで,之等の疾病に対する幾多の新知見が齎されるようになつた。
しかるに従来調査の対象となつた島々は,比較的交通の便に恵まれ,且つ現に之等の疾病の蔓延度も高いと目されているところである。従つて,交通上のみならず種々の点で不便な利島は,これ迄特殊の疾病の報告もない為に,斯様な調査は池田氏等(都衛生局,1955)の恙虫に関する調査以外には,行われていなかつた。著者は,農村厚生医学的見地から,1956年3月から1年間,先ず蝿・蚊及びフィラリア仔虫に関する医動物学的調査を行つたので,茲に得られた若干の成績について報告する。
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