特集 家族計画
企業体における家族計画—日本鋼管における実例
篠崎 信男
1
1人口問題研究所
pp.49-53
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201816
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はしがき
昭和26年以来,日本鋼管における新生活運動の一環としての家族計画運動の推進を実験的に試みたその成績について,手許にある資料を中心として報告することにする。この問題は会社側の深い理解と主婦側の積極的な意力とともに労働組合の好意的黙認の下に実行されたもので,1つの運動の集団組織的な実験例といつても過言ではない。昭和27年度は計画準備期として色々の研究資料に基ずき,会社側との打合せを行い,その実現計画を完了した年度である。従つて以下述べるものは昭和28年に始つた広汎な新生活運動実践事項の中,家族計画のみにしぼつたものの報告である。以上の報告の中で若干でも効果があつたものがあれば,それは,単なる家族計画運動だけを行つたためではないということを認識しなければならないであろう。然し家族計画の具体的な問題に限つても,単なる技術的な面のみの勝利でなく,少し大げさな言葉を使えば人間相互の信頼意識の勝利であるとも言える。つまり,生活技術を相互に生活の中に活かし更に進んで文化価値を求めようとした理想のお蔭でもある。会社は会社なりに,従業員は従業員なりに,主婦は主婦なりに夢を求め,探り合つたその筋と筋とに暖い血が通つた賜でもある。
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