特集 予防接種
ポリオ根絶に向けた世界の現状と不活化ポリオワクチンの導入
中野 貴司
1,2
1川崎医科大学小児科学
2川崎医科大学附属川崎病院
pp.109-115
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102949
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はじめに
定期予防接種の対象疾患であるポリオについては,それまで使われていた経口生ポリオワクチン(oral poliovirus vaccine;OPV)に代わって,2012年9月に不活化ポリオワクチン(inactivated poliovirus vaccine;IPV),同年11月にはDPT(Diphtheria, Pertussis, Tetanus)との混合製剤である四種混合ワクチン(DPT-IPV)が導入された.
ポリオウイルス感染症に対する特異的な治療法はなく,ワクチンの開発は人類が長年待ち望んだ夢であった.生・不活化共に,極めて有効で安全なワクチンと位置づけられ,ポリオは代表的なワクチンで予防することが可能な疾患(vaccine-preventable disease;VPD)である.また,これらワクチンの導入と変遷の国内外での過程は,私たちに予防接種に関するさまざまな示唆を与えてくれる.さらに,ワクチンにより病原体を完全に封じ込める目標として,天然痘に次いでポリオ根絶への達成が期待される.
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