特集 學校保健衛生(2)
学校保健主事の問題について
八田 宏
1
1愛知県教育委員会保健厚生課
pp.9-12
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201664
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学校保健主事設置の意義
戦前の学校衞生といつていた時代には,学校の事務分掌では,衞生主任があつて,大てい,女子や老年輩の教員が当つていた。そしてその主たる仕事は,学校身体検査の計画とその統計の処理であつて,教務や訓育主任に較べて,いわば閑職といつたのが一般の状況であつた。学校保健主事という名称が始めて世に出たのは昭和24年の「中等学校保健計画実施要領」において「学校保健指導の編成及び管理」が示されてからである。この学校保健主事が生まれたについては,学校教育に於ける健康の考え方の進展によるものであることを知らなければならない。現在の教育の在り方を示すものは,昭和23年3月に公布された教育基本法であるが,その第1条に教育の目的として「教育は………心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。」と明示している。即ち教育即健康の新教育において,ただ単に衞生管理の必要上事務分掌としてあつた衞生主任から,強力な保健主事という職制を要求したことは当然のことである。従つて現在の学校保健主事を昔の衞生主任の名称が変つた位にしか考えない人は,現在の学校保健ばかりでなく,学校教育の在り方を知らない人といわなければならない。
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