特集 公衆衞生に必要な新藥の知識
藥品の輸入と国産
小幡 昌利
pp.95-97
発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201420
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近年世界の医薬品類の進歩は目覚しく,戦後のスルフアダアイジン,ストレプトマイシンを始めとする新抗菌性物質,コーチゾン,イソニコチン酸ヒドラヂト等,続々と新しい医薬品が我が国に輸入され医療の面で寵児となつているが,これら輸入薬品の概況とその変遷の一端,国内の医薬と品の生産との比較を統計の面から概観して見たい思う。
限られた紙面であり又統計資料として現在最も正確なものは,輸入統計については大蔵省の日本外国貿易統計,生産統計は厚生省の薬事工業生産動態統計であるが,貿易統計の分類が生産統計の如く細分されていないため,多少の相異及び細部についての検討が出来得ない点はお許し願いたい。なお,現在医薬品の輸入に関する外貨運営の方針は,他の物質と同様国産不能の医薬品原料に重点を置く外,製品よりバルク,更に中間原料又は粗原料の輸入に可能なる限り置き換える措置が取られており,国産の推進が画られていることは云う迄もない。先ず茲数年間の医薬品等の輸入に対する措置はどうか,それは第1表の輸入予算額の通り昭和28年迄年々増加を続け,これを境として昭和29年からは下降の状況と見ることが出来る。更に減少して原料を除いて医薬品の製品(主としてバルク製品)のみの輸入は,現在伸びつつある医薬品の輸出が同様に伸びたとすれば,両者同額の年間約70万弗(約25億円)と見込まれている。
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