研究報告
急性灰白髄炎後貽症における足關節運動機能障害と足部變形について
不破 佐和子
1
1熊本女子大學
pp.34-35
発行日 1952年9月15日
Published Date 1952/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201103
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さきに「急性灰白髄炎後貽症について」と題して,昭和26年10月19日から昭和27年3月31日に亙る調査例287の概略を述べたが,その中にも指摘した樣に本症の下肢における運動機能障害は多種多樣である。この中,關節の運動障害を伴うものが特に多くみられる。急性灰白髄炎後貽症としての下肢運動機能障害は197名231例(足數)で,關節運動障害を有するもの及び足部變形の殘存するものは168名202例である。202例中,151例即ち75%において足關節の運動障害が認められた。又足部の變形は麻痺の關係から當然出現する症状であると考えられるが,この麻痺性變形を伴えるものが202例中,90例44.6%あつた。
足關節の運動機能障害の有無と,足部變形との關係をみると,足關節に運動障害あるもの151例中,50例33.1%に足部變形が認められた。又視診上足關節の運動正常と思われるもの51例中には40例78.4%の多きに足部變形が認められた。第1表はこれを表にあらわしたものである。視診上運動障害はないように見えても臨床的に精密な檢査を行えば麻痺の存在を認めうるかも知れないが,こゝでは短時間に行つた簡單な檢査の結果にもとづいて集計した。變形の發生についても麻痺の恢復過程中に重力の關係,體位,姿勢などの因子によつて發生したものと考えることも出來る。
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