研究報告
日本製S.S.寒天培地の再檢討
中谷 林太郞
1
,
佐山 榮子
1
1國立豫防衞生研究所第二細菌部
pp.36-38
発行日 1952年4月15日
Published Date 1952/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201027
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まえがき
戰後我國においてもS.S.寒天培地の利用は次第に盛んとなり,今や赤痢菌,サルモネラ等の分離培養には缺くべからざるものになりつつある。その理由は赤痢菌,サルモネラ等の腸内病原菌を選擇的に確實に檢出できる點,或は使用法の驚くべき簡便性等,從來の分離用平板培地に較べて幾多の優秀性があるためであることは,今更こゝに繰返すまでもないことは實地諸家の間には周知の事實であろう。
現在我國の研究所,病院,檢査室等でこの培地を使用するには,自家で調製して用いるか,Difco製品等米國の製品を使用するか,或は日本榮養化學株式會社製の市販品を用いるかのいずれかの途しかないと考えられるが(他の會社製品も遠からず市販されるときくが現在までなお實現にいたつていない),前の2つの途は種々困難があるので,多くは榮研のS.S寒天培地を使用しているというのが實状であろう。我々の研究室では市販品が出る前よりS.S.寒天培地について基礎的な研究を行つて來ており,又昨年春東京都の傳染病院,米軍406 MedicalGeneral Laboratoryその他と協力して赤痢菌,サルモネラの調査を行つた際には,諸種の分離用平板培地の比較を試み,S.S.寒天培地としてはDifco製品と榮研製品とを用いた(1)。榮研の製品が市販にでて約2年になるが,その品質について種々の批判の聲をきくことがある。
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