研究報告
日本住血吸虫に關する研究(Ⅲ)—家畜特に馬の皮内反應に就いて
田中 利男
1
,
新井 照雄
1
,
佐藤 亟
1
,
田嶋 嘉雄
1
,
横川 宗雄
2
,
佐野 基人
2
1豫防衞生研究所
2國立公衆衞生院
pp.32-35
発行日 1952年1月15日
Published Date 1952/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200986
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日本住血吸虫症の診斷は,その早期發見と云う事が最も重要であるが,これは甚だ困難な問題である。即ち潜伏期の症状は必ずしも一定しておらず種々であり,又虫卵も糞便内に常に出現するとは限らないから,例え檢便の結果が陰性であつたからと云つて,本症を否定することは出來ない。そこで本症の診斷方法として,免疫學的方法が注目され始め,多數の實驗がなされている。それらの中でも,皮内反應が最近では特に注目されている樣である。本症の診斷に皮内反應を最初に試みたのは,井上(1951)であるが,その後,Mayer and Pifano(1945),Oliver-Gonzalez and Pratt(1944),Wright,Bozicevich Brady ann Bauman(1947),森田,吉村,齋藤,(1951)その他多數の報告がある。Wright等によれば,日本住血吸虫の成虫を抗元として使用した場合本症流行地で感染の機會にさらされてから6カ月以内の兵隊達では滿足すべき成績は得られなかつたが,慢性の例即ち流行地原住民に就て行つた實驗では糞便檢査成績と全く一致したと云つている。
所が森田(1951)等の報告に依ると,森田等の方法では患者及び兎,山羊等に就ての實驗から患者では,發症後30日餘即ち,感染後60日餘,家兎では感染後35日前後,山羊では40日前後を經て陽性反應を呈すると云つている。
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