研究報告
日本住血吸虫症に關する研究(1)—日本住血吸虫の各種家畜に於る感染實驗特に糞便内虫卵の排出状況
田中 利男
1
,
新井 照雄
1
,
田島 嘉雄
1
,
伊藤 二郞
2
,
横川 宗雄
3
1國立豫防衞生研究所 獸疫研究部
2國立豫防衞生研究所 寄生虫部
3國立公衆衞生院 衞生微生物學部
pp.77-79
発行日 1951年8月15日
Published Date 1951/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200898
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日本住血吸虫症流行地域に於る各種家畜の本病に對する感染状況,特にその虫卵の糞便内緋出の難易を明かにすることは,感染源の除去と云う見地から本病豫防對策確立の上に極めて重要な問題であると考えられる。此の點に關しては,古くは藤浪博士等により研究され,特に牛は病源傳播者として人以上に重要性を有すると考えられている。此に反して馬では本虫卵は糞便内に排出されないと云われているが,尚これに反對する人もあり,此點に關する詳細な研究報告は見當らない。其處で私共は此點を究明し,畜産方面より本病豫防對策確立に協力する考えで,馬,騾馬,牛,緬羊,山羊を用いて,實驗的に一定數の本吸虫ケルカリアを感染させ,感染後の臨床的所見,本虫卵の糞便内排出開始時期及び排出持綾期間更に死後の病理學的所見等を詳細に觀察し各種動物の比較を行つた。然し今回は紙數の關係で此等の興味ある觀察をすべて報告する事が出來ないので,主として虫卵の排出状況に就て述べることにする。
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