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結核の管理
千葉 保之
1
1東鐵管理室
pp.154-158
発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200929
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結核の管理とは,終局のところ,患者の鍛を減らすことにあります。患者を見つけ,その措置にだけ終ることではありません。それは,既に管理以前のものであります。治療は元來が,患者の生命を救うという特別の意味をもつものであつて,直接には,結核撲滅を目標としておりません。何となれば,その豫防的意味は,一部の開放性患者を閉鎖性にするぐらいのことで,隔離にも,勞働力の回復にも,まことに貧弱であるからです。所詮,治療と豫防は,それぞれ獨立した使命をもつものであり,一を以て他に代えることは,できません。この豫防を中心としたものが,即ち管理というものであります。健康診斷,豫防接種,保健指導,早期治療,隔離等の一連の仕事を集團的に一元化して運用し,能率的に患者の發生を防ぎ,その数を激減していくことこそ管理の主體であります。治療の單なる延長では,ありません。治療部門の一部のような現状から,速かに脱却されることなくしては,百年河清を待つに等しいものでありましよう。從つて,結核の管理は,豫防技術の組織的活動を中心とした機關を確立して,主體となし,保健指導所,療養所,病院,後保護所を附屬させ,これらを統一的に豫防の線に沿うて運用することを立て前とします。もちろん,對象集團の規模によつて,それらの管理機關も,自ら統合されねばならないでしようし,從事する職員,ことに,技術の交流を圓滑に企ることも,必要ではあります。
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