病棟管理
結核病棟管理の実際
松本 利江
1
1群馬大学医学部付属病院
pp.35-38
発行日 1962年6月1日
Published Date 1962/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904208
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はしがき
私たちが実際に結核病棟を管理していて痛切に感ずることは,設備が十分に完備されていて,そこで働く人たちと患者とが互いに和衷協力し,それぞれの任務の遂行が円滑に行なわれて行くことであります。ところが,設備の面で不十分なところがあると,思うように管理が行き届かない点がでてくるし,病棟勤務者相互間や患者どうしあるいは患者対勤務者間の人間関係がしっくりいかないと,管理の面で円滑さを欠くことになります。つまり他の病棟と異なって,扱う患者が結核患者であるという特殊事情も加わって,患者の心理的な面を特にしっかりと把握しなければなりません。治療面以外での問題にまで意を注がないと,思わぬところで管理の欠陥を赤裸々に出す結果になりかねないのであります。
私たちの病棟管理の実際について話を進めるにあたり,次のことを付言したいのであります。どこでも同じであるように,一つの病棟の中に互いに一日も早く全快したいという一つの目的のために種々雑多な階層の患者が生活しているのであり,それらの患者をいかにしたら一日も早く快方に向かわせるかに意を注ぐのが勤務者なのであるから,相互の対人関係を円滑にしたり,看護技術を向上させて初期の目的を達成させるためにも管理ということはきわめて大切なのであります。
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