論述
赤痢の集團發生例から觀た化學療法の適用領域
乘木 秀夫
1
1日本醫科大學衞生學教室
pp.351-358
発行日 1949年4月25日
Published Date 1949/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200456
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緒言
赤痢の流行を,疫學的に考察する事は,今更新しい事でない。しかし,化學療法による赤痢の撲滅を確信し,一朝にして,赤痢が我が國より消滅するが如き妄想に落入り易い今日,尚お,流行が相次いで起り,未だ消滅のきざしさえ認め難い時,再び取上げて,そのよつて來る原因を考え,如何にして化學療法の域に導くかを,疫學的に考究する事は,不必要とは考えない。
赤痢の化學療法の效果は,實驗的1)2)にも,臨牀的3)にも,更に防疫上4)にも認め得る。確かに,昨年度は非常な減少を示し,又昭和23年度は更に減少している5)。しかし,現在の減少を以てしても,尚お,過去の赤痢動態を改變するが如き效果は,認められて居ない6)7)。
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