原著
乳幼兒身體發育の研究—第1編 本邦乳幼兒身體發育の現状—第1部 新生兒に就て(全國に亙り49地區に於て24,767乳幼兒の計測に基づく)
齋藤 潔
1
,
淸水 三雄
1
1公衆衞生院母性小兒衞生學部
pp.268-275
発行日 1949年3月25日
Published Date 1949/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200437
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緒言
乳幼兒期は人の1生で最も身體發育の盛な期間であり,而もこの期間の身體發育は,その後の發育にも,また健康状態にも大きな影響を及ぼし,ひいては民族の健康そのものにも直接につながるものであるというも過言ではない。從つてこの期間の發育を明らかにすることは,一般健康状態の現状を知り,時代の衞生及榮養等の實態を窺い,更に民族の體質の改善にも寄與するところ大であると信ずる。然るに乳幼兒は專ら家庭内にあるので,多數の研究對象を得ることに困難があるために,從來この種の調査研究業績には全國的の對象から得たものがない。勿論身體發育の研究としては,少數例特に同一人について詳しく行う方法もあるが,その結果を全國的の大衆に適用することは無理がある。何となればこの期の小兒の身體發育には大きな個人差があるから,少數の對象についての計測値に基づくものでは發育の眞相を把握し難い。かかる點からみて乳幼兒の發育の研究は困難な仕事である。
著者等は多年この問題の解決に努力して來たが,恰も,昭和15年日本學術振興會の援助を得ることとなつたので,これが共同研究の實施計書を立案した。先づ廣く全國に亙り一定の計測方法に依り,計測の精確を期せんとして主として全國に散在する保健所を各地調査中心とし,保健所長の協力を求めた。其他府縣都市の衞生行政當局並に農村に於ける開業助産婦にも助力を依頼した。
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