原著
亂切接種法に依るBCG接種局所反應の研究
金光 正次
1
,
石原 良一
1
1北方結核研究所
pp.262-268
発行日 1949年3月25日
Published Date 1949/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200436
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豫防接種法の制定に依りBCG接種は愈々廣汎強力に施行される事になつた。從前の皮下注射法に較べると,現行の皮内注射法では,接種に伴ふ副作用は著しく輕減されたと云えるが,之の方法を以てもツベルクリン反應を精密に檢査して,確實に陰性な者にのみ接種を行つても,平均5%位に膿瘍,潰瘍が生ずる。そして完全治癒迄に少からぬ日數を要し,治癒の後も醜い瘢痕を貽す事も決して稀でない。又BCGの効果を持績せしめる爲に再接種の必要な事が注目されて來たが,一般に再接種術の局所反應は初接種に較べて強く,從つて膿潰瘍の形成も多い事が認められている(1)。増子(2)はツベルクリン,アレルギーの残存する天竺鼠にBCGを重ねて接種すれば,免疫が加重増強される事を示したが,人體に於ては接種局所に生ずるコッホ氏現象の爲に高率に潰瘍が現はれ,且つ難治の傾向が認められるので(3),その應用は戒心を要する。最近ローゼンタールの亂刺法,及び種痘術式に依る亂切法が,ツ反應陽轉率に於て皮内注射法に匹敵し,而も局所反應が著しく輕微な點で注目されて居る。依つて我々は特に此の副作用を觀察する爲,ツ反應陰性者のみならず,陽性者に對してもBCG接種を行い,局所反應の推移を追及した結果,亂切法に依つてツ反應が極めて高率に陽轉する事,及び局所反應がツ反應陽性者に於ても著しく輕微な事を認めたのでその大要を報告する。
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