特集 第2囘日本公衆衞生學會研究發表抄録
〔第1日〕11月12日(金)午前の部
(12)132km強歩者の身心に於ける諸變化
酒井 敏夫
1
1浦本研究所
pp.137
発行日 1949年1月25日
Published Date 1949/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200400
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昭和23年10月25日,山梨縣立甲府第一高等學校に於ける24時間強歩に於いて17-18歳の生徒27名について脈搏數,血壓,肺活量,握力,膝蓋腱反射閾値,空間定位,尿及び唾液のpH,尿の蛋白竝びにDodaggio-増山反應,及び其他2,3の事項を甲府,上諏記,小野,松本の4ケ所にて次々に測定し,強歩中間時の變動を見た。
其の結果27名中,松本を突破したものが3名,小野,松本間で落伍したものが9名,上諏訪,小野間で落伍したものが10名,他の5名は上諏訪迄に到らなかつた。松本突組を第1群,小野組を第2群,上諏訪通過組を第3群とすれば,各群とも上諏訪にて疲勞は最大値近くに迄達し,小野にては危險閾に達している様に思えた。松本に達した第1群のものは,危險閾を脱し身心の調整が出來得た身體の所有者の如くであつた。測定値で顯著な傾向を示したものは,膝蓋腱反射閾値で,上諏訪にてすでに,1日の休養では恢復出來ぬ上昇の型を示し,落伍組の第2群,第3群の上昇過程は,第1群のものより急激な上り方を取つた。次に明らかな成績を示したのは,尿及び唾液のphで,上諏訪,小野,松本と遠方に行くに從い,酸性に傾き,途中落伍した第2群,第3群は甲府出發前すでに,松本通過者に比べ,酸性度が強く,第3群のものが一番酸性に傾いていた。
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