論述
Medical Examiner(監察醫)の制度について
五十嵐 義明
1
1厚生省醫務局
pp.171-174
発行日 1948年7月25日
Published Date 1948/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200321
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Ⅰ
醫學の進歩の上に死體解剖の果す役割が絶對不可缺なものであることは,およそ醫學にたずさわる者の何者も疑わぬところであろう。少々古い文獻ではあるが,Richard C. Cabot氏の「死體檢査による臨牀診斷の的確調査」(1912年)によつて見ても,臨牀診斷の上に如何に多くの誤りが犯されているかを痛感せしめられるのであつて,わが國においても死亡者總數の約4%が死因分類上「不明の診斷及び不詳の原因」の項目によつて占められていることは驚くべき事實である。
アメリカ合衆國においてはすでに10數年前より,インターン病院の認定條件としてその病院における死亡者の少くとも10%以上は死體を解剖に附することが要求せられており,逐次その%が高められてその結果醫師も非常な努力を拂ひ死體解剖が廣く一般に理解せられるようになつたと傳へられている。
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