論述 學校衞生特集
新しい學校保健計畫
風間 又四郞
1
1東京都教育廳保健課
pp.257-260
発行日 1949年11月15日
Published Date 1949/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200551
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日本の學校保健は歴史的には既に1881年に於て小學校教員心得の中に「身體教育は獨り體操のみならず校舍の清潔,採光,温度調節,大氣の流通に注意すること,生徒の健康を害する習癖に染まぬこと,また教員の健康保全に注意すること,體育に運動と衞生の兩面があること」等を示し1891年には學校設備準則,1894年には體育衞生に關する訓令,1897年には學校醫設置規程が公布され,やがて學校身體檢査規程,學校齒科醫設置規程,養護教論制度等が順次法規上に整備されて今日に及んでいるが實際には遺憾の點が多く明らかに過去の教育に缺陷のあつたことを語つている。過去の教育に於ては健康問題が精神的訓練の道連れとして體育扁重の一途を辿り眞實の學校保健は暗黑裡に虐待されて遂に半世紀の退歩を餘儀なくされたというべきであろう。
戰後新らたに施行された教育基本法第1條(教育の目的)には「心身ともに健康な國民の育成を期して行われなければならない」と教育が健康に始まつて健康に終ることを示し,且つGHQから從來日本で使いなれていた學校衞生School hygieneを學校保健School healthと置きかえることが望ましいと勸告されたことは誠に意味の深いことゝ思われる。「健康」は從來の生物學的な意義を超えて新しく教育的な内容をもつて立ちなおり,それが戰後の民主的教育に嚴びしい反省と自覺とを切實に要求しているのである。
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