発行日 1949年4月15日
Published Date 1949/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906453
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15年間にわたつて,ビンガム基金協會といふ少しは知られた財團が,ニユー・イングランドの村落地方へ病院を施設するために,一風變つた實驗を行つてきた。その目的は,醫術の一大中心地における醫學知識や高價な諸施設を,地方の醫師及びその患者に齎すための實際的た方法を發達させるためなのである。ビンガム計畫は,この目的を,地方や各地區や首都の病院を緊密に一體化した組織で連繋する一つの機構によつて,稱讚に値するほどの低廉價で成就してさた。ビンガム組織の中樞は,ニユー・イングランド醫術中央部で,ボストンのタフツ・カレツヂの醫學部と連繋されてゐる。醫術中央部は,メイン州と西部マサチューセツツの村落地域にある30あまりの小病院に手を伸ばしてゐる。その狙ひは,中央病院とこれらの前哨病院間の相互的な醫術上の連絡のために,一本の交通路をつくることにある。地方病院から各地區の病院へ,それから中央へと,患者とか,醫師の質疑とか,實驗室の分析のための標本とかが,一つの流れとなつて,この交通路をのぼつて行く。すると中央では,その患者逹の疾患が診斷され,醫師達は處置に就いての指導を受けるのである。かうして習練された知識や,醫學知識の眞新しい流れが,こんどは逆の方向に,教授機關である中心地から外に向つて,遠隔地域の全科醫のところまで流れて行くのである。
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