保健所のペーヂ
BCG接種後の諸観察
窪田 利根男
1
1群馬縣沼田保健所
pp.228-229
発行日 1947年9月25日
Published Date 1947/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200187
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昭和21年12月,管下利根郡の1町15村に於て,10歳〜20歳の靑少年にBCGを接種した。ツ反應施行は,17373人で陽性者7579人(43.63%),BCG接種は9737人に行つた。接種液は,結核豫防會製造のものである。接種1〜2月後の潰瘍發生率は,53.95%で,問題となる如きものはなかつた。山村でありながら陽性率の比較的高いのは,7〜12月前(當時保健所未開設)14ケ町村に,結核豫防會が檢診を行ひ,BCGを接種した爲と考へられる。即ち,學童の陽性率に就いて觀察すると,沼田町,水上村(温泉地)の陽性率は48.99%で,これに該當する學童の陽性率を豫防會の報告に見ると,21.06%である。又薄根村等4村の當時の陽性率は13.14%であり,今囘は43.28%,但し18.63%の1村を除くと50.33%で,前囘のBCG接種の結果が同様に現はれてゐる。18.63%の1村は,BCG接種をしない2村の學童陽性率12.27%,及豫防會檢診時の上記6町村の平均陽性率17.63%に近い。BCG液の力價の關係と見られる。
即ち,豫防會がBCGを接種した14町村の今囘の學童のツ反應陽性率が,35%以下5村,35%〜50%間5村,50%以上4町村である。豫防會の檢診は11月から5月の間に行はれたが,上記陽性率35%以下の5村は,何れも11月及3月下旬後である點,東京よりのBCG液の輸送と氣温の温暖とが大に影響してゐるものと考へられるのである。
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